休業損害 – 給与所得者の場合

給与所得者の休業損害計算法

特別手当て
休業損害の概略は、別ページ(休業損害とは)にて解説していますが、現実に収入が減少した場合に休業損害が発生します。

給与が全額支払われていた場合には、休業損害を請求することはできません。

労災による休業損害の補償として、給与の60パーセントが支払われている場合、残りの40パーセントが、交通事故による休業損害の対象となります。

休業損害の計算方法は以下の式によります。

休業損害 = 1日当たりの基礎収入 × 休業日数

自賠責保険の支払基準では,1日当たりの基礎収入は、5,700円 が原則ですが、1日の収入額が5,700円 を超えることが認められた場合(ただし,19,000円が限度額)には、その額を1日当たりの金額とすることができます。

給与所得者の場合の、「1日当たりの基礎収入」「休業日数」の決定方法、その他問題となる項目について、以下に解説します。

基礎収入額の決め方

交通事故に遭う前、3ヶ月間に被害書となった方が受け取った給与の合計額を、90日で割った額を「1日当たりの基礎収入」の額とします。

給与は、本給 + 付加給 となりますの、残業手当、住宅手当なども含みます。
税金、社会保険料は、計算の際に控除しません。いわゆる税込額で計算します。

1日当たりの基礎収入 = 事故前3ヶ月の税込給与額 ÷ 90

休業日数の決め方

入院期間

入院した期間については、原則的にそのすべての期間を休業日数とすることができます。

通院期間

原則としては、事故によって稼働できずに休業した時から、症状固定(または完治)の時までの期間を休業期間とします。
症状固定の時以降、後遺障害によって仕事ができない状態であれば、逸失利益の問題となります。

休業が連続していれば、土曜、日曜など、事業所の稼働しない日も、休業の期間として計算します。

有給休暇を使って休んだ場合であっても、その日数を休業として計算します。

症状固定(完治)の前に、稼働が可能となった場合

稼働が可能となった日までの期間を休業日数とします。

半休などで通院した場合は、0.5日として計算します。

裁判では、稼働が可能となった日から症状固定の日までの間の休業損害を、70パーセント、50パーセントの割合で認めるものもあります。

休業損害の証明

給与所得者である、交通事故の被害者の方は、勤務先からの「休業損害証明書」によって証明します。

その他の項目

賞与が減額された場合

交通事故の被害による休業のため、賞与が減額された場合には、勤務先からの「賞与減額証明書」によって減額の損害を証明し、損害を請求できます。

ただし、休業した期間が賞与の支給期間であることが必要です。
また、勤務先の賞与規定の提出が必要となる場合や賞与の減額が、業績悪化でないことを証明する必要がある場合も考えられます。

交通事故を原因とする解雇

交通事故のケガを原因として解雇された場合

再就職も困難である場合には、退職から、症状固定(または完治)するまでの間の休業損害について認められると解されています。

しかし、保険会社への請求で簡単に認められるものではないでしょう。裁判という手段をとらざるを得ない項目かもしれません。

交通事故により自主的に退職した場合

退職以降の休業損害の請求は困難となる場合が多いでしょう。
自主退職と交通事故との因果関係を証明する事は、難しいと言えます。

会社役員の休業損害

会社役員の役員報酬は、労務対価部分と経営者として受けとる利益配当部分とがあります。

裁判所基準では、休業損害として、労務対価部分のみが認められます。

自賠責保険では、得に会社役員であることの考慮はありません。

保険会社は、会社役員の休業損害は、「支払わない!」を基本としているようです。
「役員だから」「社長だから」と強調する被害者の方がいらっしゃいますが、保険会社は、そういった主張ゆえに、休業損害を否定してくる可能性もあります。
余計な説明などは、しないほうが、早い解決をむかえる場合が多いといえます。

企業損害

会社の代表者、役員や従業員が交通事故の被害者となって、その為に会社の売上げが減少し、会社に経済的損害が生じた場合、この損害を企業損害と呼びます。

企業損害の加害者への請求は、交通事故の被害者である役員と会社が経済的同一性をなしている場合、会社が加害者に企業損害を請求出来るとの、最高裁判所の判例があります。(最判昭43・11・15 民集22・12・2614)

判例はあるものの、被害者と会社との経済的同一性を立証して、損害賠償を受けるには、かなりな努力が必要となることでしょう。

肩代わり損害

交通事故の被害者となった、会社の役員、従業員の治療費・入院費、交通費、休業損害を会社が一時的に立替払いした場合、会社は肩代わり損害として、加害者へ立替払いした金額を請求することができます。


一般的な 給与所得者の方の場合、勤務する会社からの「休業損害証明書」、源泉徴収票等により、休業損害の立証が可能です。

その他、複雑条件などが絡んだ場合は、別途、立証資料を準備する必要がでる場合もあります。


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