交通事故に遭ってケガを負ってしまってから、ある程度の時間が経った方は、後遺障害等級の認定を考える必要があります。
後遺障害等級の認定を受けるべき方
- 交通事故から3か月が経過しても症状が残存している方
- 交通事故から6ヶ月が過ぎて、後遺症が残りそうな方
- 加害者の損害保険会社から、「治療費打ち切り」との通告をうけた方
- 通院を継続しているが症状が改善されない方
- 医師から症状固定を打診された方
この様な方は、加害者の損害保険会社からの「治療費打ち切り」のプレッシャーも強くなります。
ズルズルと治療を続けるよりは、「症状固定」、「後遺障害等級認定」を経て、逸失利益、後遺障害慰謝料、介護料などによっての適切な補償を受けるように考えるべきです。
後遺障害等級認定申請の方法
後遺障害等級認定申請には、3つの方法があります。
被害者請求(自賠責法16条)
被害者請求(直接請求)は、交通事故の被害者自らが、自賠責法16条に基づき、加害者の自賠責保険会社に対し、後遺障害認定申請を行い、損害賠償額の支払いを求める方法をいいます。
被害者請求による後遺障害等級認定の流れ
1.被害者から後遺障害等級認定申請の必要書類を自賠責保険会社へ提出します。
2.自賠責保険会社は、資料一式を損害保険料率算出機構に送ります。(実際の調査は、下部組織である自賠責損害調査事務所が行います。)
3.自賠責損害調査事務所が調査結果を自賠責保険会社へ報告します。
4.自賠責保険会社は、報告に基づいて被害者へ後遺障害等級を通知し、損害賠償金を支払います。
被害者請求のメリット
- 後遺障害等級の認定により、定められた自賠責の損害賠償金を、短い時間で受け取ることが出来ます。
- 被害者の方が自ら、提出書類のチェックが可能です。
被害者請求のデメリット
- 請求者となる被害者に立証責任があります。
- 後遺障害等級認定に関わる請求書類や後遺障害を証明する資料(CT、MRI画像など)を、被害者である方自身で立準備する必要があります。
加害者請求
加害者請求は、被害者に代わって、加害者が後遺障害等級認定の手続きを行い、損害賠償金を被害者に支払うものです。
現在は、ほとんど場合、運転者は任意保険に加入しており、事前認定の方法によって、後遺障害に関する事案が処理されています。
事前認定
加害者が任意保険に加入している場合、加害者の任意保険会社の担当者が「一括払い」として、被害者の方と示談交渉を行います。
任意保険会社が、示談交渉において、後遺障害等級による損害賠償の金額と、実際の示談交渉において提示する損害賠償額との間に、大きな隔たりが生じないように、示談交渉に先立って、損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)に後遺障害等級の認定を求めるのが、事前認定です。
損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)は、任意保険会社に、被害者の方の後遺障害の有無、等級について通知します。
この結果に基づいて、任意保険会社は被害者の方と示談交渉を行います。
事前認定のメリット
- 任意保険会社が、後遺障害認定の手続を行ってくれますので、被害者の方の負担が軽くなります。
事前認定のデメリット
- 任意保険会社から損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)へ資料提出する際に、保険会社の顧問医の意見書が付けられ、被害者に不利な認定がなされる可能性も考えられます。
- 加害者側の任意保険会社から、どのような資料が損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)に提出されたのか分かりません。期待できる後遺障害等級認定の獲得が期待できない可能性があります。
事前認定後の任意保険会社の対応
任意保険会社は、後遺障害等級認定の結果によって、損害賠償の金額の見積りが行えるようになります。
その見積もられた損害賠償の金額の範囲内での示談を迫ってくるのです。
被害者の方は、保険のプロ、交通事故処理のプロと示談交渉をしなければならないのです。
正当な高障害等級認定を受け、正当な損害賠償金額を知った上で、示談交渉へ望むべきです!!
後遺障害等級認定への異議申立
後遺障害等級認定に不服がある場合は、異議申立を行うことが認められています。
この異議申立は、何度でもすることが出来ます。
加害者請求や事前認定の場合でも、被害者請求へ切り替えて、異議申立をすることが出来ます。
後遺障害等級認定申請の必要書類
- 自賠責保険支払い請求書兼支払指図書
- 印鑑登録証明書(3ヶ月以内)
- 交通事故証明書
- 診断書
- 後遺障害診断書
- 診療報酬明細書
- 事故状況を証明する書類(事故車の写真、事故現場の写真、事故状況図、修理費見積書、実況見分調書等必要に応じた資料)
- 画像(レントゲン(X-P)、CT、MRI等必要に応じた画像
※交通事故証明書、診断書、後遺障害診断書、診療報酬明細書は、保険会社へコピーを請求することで入手出来ます。
後遺障害等級認定の手続き、異議申立は、「被害者請求」により行うことがベストです。医療調査、後遺障害診断書の精査など、専門的な知識の必要な部分が多くありますので、専門家へのご相談を、お勧めいたします。