交通事故の損害賠償とは


交通事故:自動車、自転車、けが人

不幸にも交通事故に遭ってしまったら、ケガの治療が第一ですが、同時に損害賠償を受けられるよう対応しましょう。

交通事故の損害賠償には、大きく分けて、ケガ(死亡の場合もあります)の損害に対する「人損」、自動車や建物などの破損に対する「物損」とになります。

ここでは、この二つの損害賠償について、概観しています。

交通事故での二つの損害賠償

人損への損害賠償は

ケガを負ってしまった被害者の方は、以下の賠償金を請求することが出来ます。

治療費、付添看護費、入院雑費など(積極損害ともいいます)

実際に、治療・入院に必要となる費用

休業損害

入院、ケガにより、仕事が出来ずに減ってしまった収入への賠償

通院(傷害)慰謝料

ケガを負って、通院・入院している間の、精神的苦痛(「痛い・辛い」といった苦痛)に対する賠償金

後遺症による逸失利益

後遺症が残ってしまったために、当然に受け取れるはずであった、将来の収入への賠償

後遺症慰謝料

後遺症が残ってしまったために、受けることとなってしまった、精神的苦痛(「痛い・辛い」といった苦痛)に対する賠償金

実際の損害賠償金の支払いでは、過失割合(被害者の方に認められる「落ち度」の割合)により、減額がされます。

物損への損害賠償は

自動車の損害

修理費用

修理代か自動車の時価額のどちらか低いほうが認められる

代車の使用費用

「相当期間」に限って認められる

レッカー代などの諸費用

事故との相当因果関係が認められる費用は、損害として認められる

評価損

保険会社は、認めない傾向にあるようです

「評価損」:自動車を修理したために、低くなってしまった評価額の相当額

物損は、損害内容が早期に確定出来るので、「人損」とは分けて、先に処理されます。

もちろん、実際の損害賠償金の支払いでは、過失割合(被害者の方に認められる「落ち度」の割合)による、減額が行われます。

ただし、「物損」において合意された「過失割合」が、その後の「人損」の「過失割合」に引き継がれるとは限りません。

損害賠償の請求者となる方

被害者が亡くなられてしまった場合

不幸にも、被害者ご本人が亡くなられてしまった場合は、損害賠償の権利は、相続人の方が相続され請求することとなります。

さらに、相続人の方は、自己に固有の精神的損害に対する死亡慰謝料、葬式の費用などを請求することが出来ます。

被害者が植物状態になってしまった場合

不幸にも、被害者の方が受傷により、植物状態になってしまった場合は、損害賠償を請求するための代理人を選任する必要がでてきます。

通常は、被害者の方の配偶者、または4親等以内の親族の方が、家庭裁判所へ「後見開始の審判」を申し立てて、「成年後見人」の専任を受けて、その「成年後見人」が、損害賠償の請求を行うこととなります。


請求の出来る損害賠償の内容を理解して、納得の出来る賠償金を受け取る準備をしておきたいものですね。


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治療費について ~看護費・交通費~

被害者と救護する人

交通事故の被害に遭われての、「ケガの治療」において、治療にかかった現実の治療費の支払われる範囲は,治療費について において、説明させていただきました。
しかし、治療においては、治療費以外にも様々な費用が必要となります。
今回は、治療費について、の2回目の説明です。

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治療費として認められる費用

付添看護費

付添看護費とは

付添看護費としては、以下の3種類が考えられます。

  • 入院付添費
  • 通院付添費
  • 自宅付添費

付添看護費が認められるためには・・・

交通事故の損害として付添看護費が認められるには,被害者の受傷の部位、程度、被害者の年齢などを考慮して、付添の必要性が求められます。

例えば、

  • 幼児が被害者となった場合、親の付き添いが相当と考えられる。
  • 被害者が重傷で、身の回りの世話が必要な場合、付き添いの必要性が肯定される。

入院付添費の額

  • 職業付添人:原則として全額 近親者付添人:1日当たり、5,500円~7,000円(「青い本」基準)
  • 付添人の交通費は、上記金額に含まれていると考えられています。

通院付添費の額

  • 1日当たり、3、000円~4,000円(「青い本」基準)

介護費

介護費とは

重い後遺障害を負った被害者に対し、症状固定後の将来について必要となる付添看護費のことで、将来介護費とも呼ばれます。

介護費が認められる期間

原則として、平均余命までの期間について認められる。 ただし、ライプニッツ係数を用いて中間利息が控除されます。

介護費が認められる被害者

  • 後遺障害等級1級:常時介護
  • 後遺障害等級2級:随時介護
  • 後遺障害等級1級、2級以外であっても、事案によって、随時介護費がみとめられる場合もあります。

介護費の額

  • 将来、実際に支出が見込まれる額が、損害として認められます。
  • 近親者の常時介護費:1日当たり 8、000円~9、000円(「青い本」基準)

入院雑費

入院雑費とは

入院中、日常的に支出が必要となる日用品費、栄養補給費、通信費、娯楽費、新聞代など。 領収書を特に必要とされません。

入院雑費の額

  • 1日当たり 1、400円~1、600円(「青い本」基準)

交通費

 

駐車中の車

被害者本人が、治療のために入院、通院、転院をした際の交通費が認められます。

公共交通機関の利用

原則として、公共交通機関を利用した金額が、認められます。

タクシーの利用は、傷病の状況(車椅子や松葉杖を使用しなければ移動できない)により、タクシー利用の必要性がある必要があります。

請求に際しては、領収書のとれるものは、準備しておく必要があります。

自家用車の利用

被害者が自家用車を利用した場合の交通費は、実費相当額が認められます。

実費相当額

ガソリン代:1kmあたり15円 病院駐車場代 高層道路料金

家族が被害者を同乗させて、病院へ送った場合、家族について近親者通院付添費が認められます。


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治療費について

けが人、救急救命士

交通事故の被害に遭われると、第一に考えなければならないことは、「ケガの治療」です。

ケガの治療が終了して、損害賠償の交渉、示談の話し合い、となりますが、「ケガの治療」においても考慮すべきポイントがあります。

交通事故のケガの治療、治療費について解説いたします。

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治療費の重要ポイント

負担は、だれがするのか・・・

加害者が任意保険に加入している場合

任意保険の保険会社が、被害者の治療の自己負担分(窓口負担分)を、医療機関との合意により、「一括払い」として、医療機関に直接、支払います。

わが国では、8割ほどが、自賠責保険と任意保険に加入していますので、治療費に関して、被害者は特に考慮することなく治療に専念できるかと思います。

そうでない場合は・・・

加害者が任意保険に加入していない場合

医療費の代理請求

医療機関が、事故の被害者のから医療費請求の委任を受けて、自賠責保険に対し、被害者請求 を被害者に代理して行うという方法。

被害者による支払いと被害者請求

被害者が自分の健康保険を使って治療を受け(健康保険組合へ「第三者行為傷病届」の提出が必要です。)、治療費を支払い、後日、領収書を自賠責保険へ提出して、被害者が支払った治療費を回収すると言う方法です。

こちらは、任意保険に加入していない場合に、やむを得ず行う方法でしょう。

交通事故で怪我をおった被害者の方が、自ら治療費を一旦、負担するというのは、なかなか心情的に割り切れないかもしれません。

加害者による支払いと加害者請求

加害者が被害者の治療費を立替え払いし、後日、領収書を自分の自賠責保険へ提出して、被害者が支払った治療費を回収すると言う方法です。

自賠責保険 + 任意保険 の契約がほとんどで、任意保険会社が示談交渉を代理する現状では、ほとんどないのかもしれません。

また、被害者の方も加害者と直接、しかも医療機関にて関わりを持つというのは、望まないかもしれませんね。

認められる 治療費

被害者の治療費は、症状固定時までの、治療費(医薬品代、手術代など)、入院費が、必要かつ相当な範囲で、実費額が損害として認められます。

注意すべき治療費

必要かつ相当な範囲」での治療は、その治療費が認められますが、過剰診療、高額診療は、診療として認められない場合もあり、注意が必要です。

過剰診療

医学的に、必ずしも必要のない診療・治療のことです。

必ずしも必要とはいえないのですから、賠償請求が認められない場合があります。

高額診療

通常の診療や治療は、健康保険が適用されます。

交通事故の治療の場合、医療機関によっては,健康保険扱いとせずに自由診療扱いとするところもあります。

自由診療は、健康保険の適用される診療・治療報酬に比べて、その報酬は高額となります。

そのため,自由診療が、高額診療と判断され、全額の請求が認められないという場合も考えられます。

交通事故診療においても健康保険の適用が認められます。健康保険の適用のある診療を医療機関に要請するのがよいでしょう。

治療の有効性

医療機関での治療の有効性は、損害として治療費を認定する際に、考慮されるのでしょうか・・・?

つまり、治療としての効果が明らかに認められない場合は、その治療費は認められないのでしょうか・・・?

答えは、「いいえ」。

事故と治療行為との因果関係は否定されず、医療機関が必要として行った治療行為は、結果として無効とされても。治療費が減額されるものではありません。(福岡高判 平成19年2月13日、参照)

整骨院等の治療費

東洋医学による治療費が損害としてみとめられるか」にて説明しています。ご参考ください。

将来の治療費

後遺障害が残ってしまう交通事故の場合,症状固定後にも医師による診療・治療を受けるということがあります。この症状固定後の将来の診療費は、損害として認められるのでしょうか・・・?

後遺障害の残る事故の場合、治療費は、症状固定前(過去)の治療費と症状固定後(将来)の治療費とに分けることができます。

「症状固定」とは

医学的な意味での症状固定それ以上診療や治療を施しても、傷病の症状の回復・改善が期待できなくなった状態を言います

賠償上の意味での症状固定 :賠償関係から見た場合は、賠償期間の終期を意味します

つまり、「症状固定」は医学上の問題にみならず、賠償関係における問題をも含みます。

被害者にとっては、極めて大切な事柄です。

医師の一方的な判断で行われることは妥当とは言えません。被害者としても、医師と十二分に相談して、合理的に決定していく必要があります。

症状固定前(過去)の治療費

損害として認められます、よほど例外的場合以外は、争いがないでしょう。

症状固定後(将来)の治療費

改善が見込めない状態である、症状固定後の治療、診療は意味がないとも考えられます。

症状固定後の治療費は、原則的に、傷害である治療費には該当しません。

症状固定後(将来)の治療費が認められる例外

症状固定後において、治療を受けなければ、症状が悪化してしまい、症状固定時の状態を保存できないという 特別な事情 がある場合には、損害として認められる場合もあります。

「特別な事情」とは

医師の指示等が必須でしょう。

症状固定後の診療費を損害として請求するには、医師に将来的に必要となる治療、その治療を行わない場合、どのように症状が悪化するのかについて、事前に、診断書、意見書、鑑定書と言ったものにより、医学的根拠を明確にすることが必要です。

実際の対応は・・・

症状固定時を基準として、固定前(過去)の 治療費 と、固定後(将来)に関しては 逸失利益(後遺障害がなければ得られていたであろう収入等の利益のこと)として、損害賠償金額を算定し、請求していくこととなります。

そのためにも、前記の 症状固定日の設定 は、慎重に行わなければなりません。

慎重に検討し、納得のいく損害賠償で解決しましょう!


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自賠責基準、任意保険基準、裁判基準

交通事故の慰謝料、損害賠償、保険金の金額の三つの基準。 支払いを受けようとする被害者の方、ご参考になさってください。

慰謝料、損害賠償、保険金の金額は正当なの・・・

交通事故の被害に合われた方、最大の関心事は「ケガを直して、元の生活へ復帰すること」ですよね。

さて、治療が進んで、元の仕事や生活への復帰が見えてくると、保険会社からの連絡が・・・ 「損害賠償計算書」が、示談書や免責証書とともに送られてきます。

損害賠償の金額を見て、被害者のあなたは・・・「この金額は正当なのかな・・・」と思うのではないでしょうか。 被害者のあなたは保険会社へ電話してみます。 すると、担当者は「◯◯さん、これは保険金の支払い基準で決められている金額なんですよ。当社では、被害者の方へは、皆さんこの金額の基準で計算して支払わせていただいていまして・・・どの被害者の方も同じなんですよ・・・」と回答が・・・ 被害者のあなたは「そんなものかな・・・まぁ、決められているのなら・・・、・・・」と、ちょっとした「」を残しながらも、示談書や免責証書にサイン・・・

ちょ、ちょ、ちょっと!! 待ってください。 「基準」って、何なんでしょう・・・

三つの基準

治療費や交通費などの実費は、金額が明確に算定出来ますが、慰謝料は算定が難しいので、公平な賠償額・保険金額を算定するために、自賠責保険基準任意保険基準裁判基準という3つの基準が存在しています。

これらの基準で、慰謝料、損害賠償を算定すると、その金額は・・・

自賠責基準 < 任意保険基準 < 裁判基準

と、なります。

保険会社は、裁判基準よりも低い保険金額(場合によっては自賠責基準による最低金額)を提示してきて解決しようとしています。

保険会社も営利を目的とする企業体である以上、支払う保険金をより低額におさえようとする傾向があります。 また、「請求されないものは支払わない」といった場合もあります。

被害者のあなたは、交通事故や保険に関しての知識がないので、裁判基準よりも低額な保険金額を提示してきて、正当な金額であるかのように言ってくるのです。

安易に示談に応じず、専門家にご相談ください。

提示された慰謝料、損害賠償金額の正当性を「査定」させていただきます。 [content_block id=261]

自賠責保険基準

自動車損賠賠償保障法という法律により、定められた保険金額で、強制加入となっている自賠責保険による人身事故に対する、最低限の保障であり、三つの基準の内では、もっとも低額となっています。

任意保険基準(保険会社の提示基準)

保険会社が社内で決めている保険金額の基準。

保険会社の社内で自賠責保険基準、裁判基準内部基準を参考に、金額提示のために決めているもので、保険会社が解決を目指す金額です。

社内基準にすぎず、拘束力はありません。裁判基準より低額となります。

裁判基準

過去の裁判例をもとに類型化された賠償基準。

裁判となった場合、この基準での賠償金額の判断が行われます。


実際の交渉においては

実際の交渉では、被害者とすれば「裁判基準」によって賠償金額を算定する方向で行いたいと思います。

ただし、やみくもに「裁判基準」での支払いを主張してもみとめられず、それなりの根拠が必要です。 専門家へ依頼して、根拠、証明となる書類などの準備をしての交渉が必要となってくるでしょう。

また、「公益財団法人 交通事故紛争処理センター」などの、紛争処理のための機関を活用することも考えながら、保険会社と交渉する必要もあるでしょう。

公益財団法人 交通事故紛争処理センター」での紛争処理をご希望の被害者の方、提出書類のご準備をサポートいたします。


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示談書、免責証書の書き方

交通事故において、安心の出来る示談書、免責証書の作成方法を解説します。

示談書、免責証書とは

交通事故後に、示談の条件、損害賠償の合意を書面化したものが、示談書、免責証書となります。

保険会社は、定型のものを準備しています。しかし、保険会社からの提案であるからと無条件でサインすることは危険でもあります。
ご自身で、以下のポイントを確認してサインしましょう。 また、必要であれば、被害者の側から示談書、免責証書を提案しましょう。

示談書、免責証書に記載すべき基本事項

1. 事故の表示

対象となる交通事故を特定します。

事故発生日時、事故発生場所、当事者の車両所有者の氏名、運転者の氏名、車両番号、事故状況・内容を記載します。
通常は、「交通事故証明書」の記載に準じて記載します。

2. 合意した損害賠償額

加害者(保険会社)と被害者とで合意した損害賠償額の総額を記載します。

3. 既払額

被害者が直接受領したもの、病院に直接支払われている治療費等、自賠責保険・共済から支払われたものの総額を記載します。

4. 送金先の指定

支払いを受ける被害者の送金先を記載します。

示談書へ記載すべき事項

示談書は、加害者と被害者の双方で作成するものです。
合意した損害賠償額の支払い義務があること、それ以外の債権債務がないことを明確に記載します。

免責証書へ記載すべき事項

免責証書は、被害者のみが作成するものです。

損害賠償の金銭が支払われれば、裁判上、裁判外どちらの請求も異議申し立てもしない旨を明確に記載します。

後遺障害への対応

示談当時に確認されていなかった後遺障害が後日、確認され、認定された場合は・・・ 示談書、免責証書に記載されていなくても、別途請求することが出来ます。
しかし、念のために後遺障害が後日、認定された場合の別途協議条項を入れておくべきでしょう。

保険会社の準備している、定型の示談書、免責証書では、これらの協議条項は記載されていません。 その場合は、保険会社に対し、遠慮なく協議条項の記載を求めましょう!

示談書、免責証書への押印など

面前にて、本人が署名、押印する場合は、実印である必要はありません。

本人が立ち会わない場合、代理人が書面を作成する場合には、実印での押印と印鑑証明書の提出が求められます。

当事者が未成年者の場合は、親権者の署名、捺印と戸籍謄本の提出が求められます。

死亡事故では、相続人の署名、捺印と相続人であることを証明する書類の提出が求められます。


示談書、免責証書 をご自身でご準備なさる方、保険会社や加害者側から提示された 示談書、免責証書 の内容を精査なさりたい方、お気軽にご相談ください。


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運転免許制度が変わりました

ここのところ、毎日のように交通事故ニュースが伝えられています。

伝えられていたのは「脱泡ハーブ」を吸引した運転者の事故が多かったのですが、飲酒による運転事故、病気による意識障害の事故なども報道されています。

政府インターネットテレビ という政府広報のページで、交通安全に関する話題として、

運転免許の制度が変わりました!~安全運転に影響を及ぼす病状について質問票に正しく回答を – 政府インターネットテレビ

というページを見つけましたのでお知らせしておきます。

内容としては、 「平成26年6月1日に施行された、今回の道路交通法改正では、運転免許の取得や更新をしようとした人が、自動車の安全な運転に支障を及ぼす恐れのある病気の症状を有しているかどうかの、質問票の提出が義務化されました。今回は、改正に至った経緯や質問票の内容などのほか、その他の改正点について、警察庁担当者が解説します。」(ページ解説文) といったことです。

平成26年6月1日施行、道路交通法改正

そこで、平成26年6月1日に施行された道路交通法改正は・・・ということですが、これは、警察署のホームページなどで、解説がされていますので、そちらで詳細はご確認いただきたいですが・・・

神奈川県警察/改正道路交通法等の一部施行について

おおまかには・・・

一定の病気等に係る運転者対策の推進

自動車等の運転に支障を及ぼすおそれのある病気として、免許の拒否又は取消し等の事由とされている統合失調症、てんかん、再発性の失神、無自覚性の低血糖症、そううつ病、重度の眠気の症状を呈する睡眠障害、認知症、その他自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈する病気を「一定の病気」として、該当する運転者への対応を強化しています。

具体的に、一般の運転者の我々にかかわることとしては、上記の 運転免許の制度が変わりました!~安全運転に影響を及ぼす病状について質問票に正しく回答を – 政府インターネットテレビ にあるように、

病気の症状に関する質問制度及び虚偽回答に対する罰則の整備

運転免許取得や運転免許更新の申請をする際に、「一定の病気等」に該当するかどうかを判断するための質問票の提出が義務化されました。

虚偽の回答や報告をした場合は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金が科されます。(第89条、第101条、第101条の2、第101条の5、第107条の3の2、第117条の4関係)

ただし、質問票の提出だけでは十分とは言えないでしょうから、

医師による任意の届出制度

医師は、診察した患者が「一定の病気等」に該当すると認められ、その患者が運転免許保有者であると知ったときは、当該診察結果を公安委員会に届け出ることができるようになりました。

なお、医師の守秘義務に関する法律の規定は、本届出には適用されないこととなります。(第101条の6関係) といった制度も整備されました。

交通事故の予防という観点から、大変に良い施策と思います。 「てんかん」の持病を持つ運転者による事故が起こったという背景があっての法改正と思います。

ただ、交通事故対策としては、もう新たな課題を突き付けられているのが、ここのところの事故の報道から感じるところでもあります。

いつまでも、「飲酒」による痛ましい事故のニュースは聞きたくないものです。


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主婦の休業損害は・・・?

治療中 専業主婦は「給与」を受け取っていないから「休業損害」の補償はないのでしょうか・・・?

いいえ、専業主婦であっても「主婦業」ができなくなってしまった期間は、「休業損害」が補償されます。

その額は・・・?

自賠責保険の基準では、1日=¥5,700ですが・・・

「休業損害」って・・・

交通事故に遭ってしまって仕事ができない・・・「当然、休業しなければならなかった期間の所得の減少は補償してもらいたい。」もっともな主張です。

交通事故損害賠償では「休業損害」として、これらを補償しています。

サラリーマンであれば、勤務先からの「休業損害証明書」により証明された休業日数、減額された給与額にもとづき、自営業者であれば、事故前年度の所得税確定申告書と診断書の治療日数にもとづき、「休業損害」が算定されます。

では、専業主婦は・・・

家事労働は、金銭換算される!

専業主婦の行う、家事労働は金銭的に評価されます。

これは、最高裁判所が「家事労働に属する多くの労働は、労働社会において金銭的に評価されうるものであり、これを他人に依頼すれば当然相当の対価を支払わなければならないのであるから、妻は、自ら家事労働に従事することにより、財産上の利益を上げているのである」と認めています。(最高裁判判例 昭和50年7月8日 集民115号267頁、 最高裁判判例 昭和49年7月19日 民集28巻5号872頁)

家事労働はいくら・・・?

専業主婦の場合

先にあげた最高裁判例は、女子労働者の平均賃金に相当する財産上の収益をあげるものと判断しています。

つまり、女子労働者の全年齢の平均賃金を基礎として算出されます。

平成23年の賃金センサスのよれば、この金額は、年額¥3,559,0001日あたり、¥9,750です。

兼業主婦の場合

兼業主婦の場合には、家事労働ができないことによる損害と従事する仕事を休業したことによる損害とが発生しますが、双方を合わせて損害賠償請求することは認められず、いずれか高額なほうを請求することとなります。


保険会社の対応は

保険会社は、被害者が主婦の場合、低額であるパートの収入の「休業損害」のみ、または自賠責保険の基準である、1日=¥5,700を提示してくる場合があります。 慎重に対応してください。

ちなみに、最近は「専業主夫」という方もいらっしゃいますが、男性であるからと言って賃金センサスの男性平均とはなりません。


 一人暮らしの場合

家事従事者としての休業損害は認められません。(東京地判平成22年2月9日交民43巻1号123頁)

家事従事者に休業損害が発生するためには、自分以外の第三者に対し家事労働力を提供していることが必要と考えられているようです。

認められる休業期間は・・・

家事労働ができなかった期間ということですが・・・

入院期間:その全部を休業期間と認める 通院期間:受傷内容、受傷部位、治療経過、回復の度合い、家族構成などを総合的に考慮して休業の割合を決定(例:70%を認めるなど)。

現実にどの程度、家事労働に支障が生じたのかは、客観的な指標はなく、被害者の方の自己申告によることになります。通院を怠らずに治療をつづけ、医師の指示に従っていることが必要かと思われます。

なかなか、難しい部分です。

高齢者主婦の場合

専業主婦の家事労働の財産上の収益は、年額¥3,559,0001日あたり、¥9,750ですが、同じ主婦でも、夫と育ち盛りの子供のいる主婦と、子育てを終え夫と2人暮らしの高齢者の主婦とでは家事労働の負担が違ってきます。

基本は、「全年齢」の平均賃金ですが、家事労働の負担が比較的軽い高齢者の主婦では、年齢に応じた賃金センサスを使う場合があります。

  • 全年齢  = 年額¥3,559,000、1日あたり、¥9,750
  • 60~65歳 = 年額¥2,964,200、1日あたり、¥8,121
  • 65~69歳 = 年額¥2,740,500、1日あたり、¥7,508

計算例

専業主婦のAさんは、交通事故に遭って腕を骨折、30日間入院し、その後90日間通院し症状が固定し、自賠責保険で後遺障害12級の認定を受けました。Aさんの家族は、会社員の夫と小学生の男の子の3人家族です。 この場合のAさんの休業損害は・・・

夫と男の子の3人家族であり、Aさんは家事労働者である。

基礎収入額:年額=¥3,559,000、日額=¥9,750

入院による休業損害:¥9,750 × 30日=¥292,500 通院による休業損害 後遺障害等級が認定されているので、傷病の程度は軽いとはいえず、家事に相当の支障が生じたので80%が認められた。

:¥9,750 × 90日 × 80%=¥702,000

休業損害:入院による休業損害+通院による休業損害=¥292,500+¥702,000=¥994.500

Aさんの休業損害は、¥994.500となります。


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脱法ハーブ吸引による交通事故、急増!

ワールドカップ・サッカーも次は準決勝、ブラジルのネイマールの欠場は残念ですが、ドイツのミュラー、クローゼ、オランダのロッペン、ファンペルシー、アルゼンチンのメッシの活躍がまだまだ楽しめそうで、早起きと寝不足ももう少し・・・ですね。(2014年7月7日)事故後の様子 さて、日本国内では、脱法ハーブを運転者が吸引しての事故が連続して伝えられています。

脱法ハーブ使用か 東京・北区で交通事故、3人けが  :日本経済新聞

東京新聞:脱法ハーブ吸引 池袋で車暴走 7人死傷:社会(TOKYO Web)

また、大阪では低血糖症の運転者の意識障害の事故も起こっています。

御堂筋暴走、会社員を逮捕 低血糖症の危険運転致傷容疑:朝日新聞デジタル

事故に遭われた方は、大変にお気の毒です、お見舞い申し上げます。

警察庁のまとめによると、脱法ハーブを吸引した後に交通事故を起こしたとみられる事故の検挙は2011年は0件だったのが、12年には19件19人に、13年には38件40人にものぼっているということです。

脱法ハーブの取り締まりは、13年に厚生労働省が成分の似た薬物をまとめて禁止する包括指定を導入し、取り締まりを強化、この4月からは法律改正もおこなわれ、指定薬物の製造や販売だけでなく、所持や使用、購入、譲り受けも禁止しまた。

運転者への罰則としては、14年5月に自動車運転死傷行為処罰法が施行され、交通事故で人を死傷させた場合、従来ならば危険運転致死傷罪(最高刑懲役20年)か自動車運転過失致死傷罪(最高刑懲役7年)のいずれかが適用されましたが、危険運転致死傷罪の「正常な運転が困難な状態」という適用要件の立証は難しかったようです。 新法では「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」という適用要件を緩めた罪が設けら、最高刑は懲役15年となっています。また新たに「発覚免脱罪」が設けられ、薬や薬物の影響で事故を起こした場合に発覚を免れようと逃走した場合などの最高刑は懲役12年となっています。

脱法ハーブ自体の規制を進め、事故後の罰則を強め抑止を効かせる方向性は、まったく賛成です。 自動車学校での講習によって運転免許を手に入れる日本では、この講習の際に、もっともっとこういった法律や罰則に関しても学習する機会を増やすことも必要だと考えます。

賠償保険は被害者救済という観点から運転者が無免許、酒気帯び、薬物中毒などでも支払われますが、保険会社も営利企業ですから、運転条件が補償内容に合致しているか否かは精査されるでしょうね。

また、対人賠償保険の加入率は、2011年の集計ですが、73.1%。つまり、4台に1台以上の自動車が対人賠償保険なしで走っているという現実です。

脱法ハーブを吸引して運転してしまう人が、保険の面では対人賠償保険にきちんと加入しているのか・・・ 自分のことは自分で守る、そんな時代なんでしょうか・・・?


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交通事故の損害賠償額(保険金)への疑問

扇型に開いた万札 交通事故の損害賠償額(保険金)について疑問をお持ちの方、こちらで解説致します。

被害者が損害賠償として請求できる項目、金額を確認して正当な損害賠償をうけましょう!!
ご参考になさってください。


交通事故の被害者の方へは、保険会社から損害賠償額計算書が送られ、示談書へのサインが求められます。

はじめて交通事故にあった被害者の方が、届いた場損害賠償額計算書を見ても、その金額が正しいのかの理解は出来ないと思います。

しかし、ケガの状況や、なんとなくの判断基準(?)でサインしてしまうのではないでしょうか・・・

まずは、示談書のお話・・・

 示談って・・・(怖い!?)

示談は、「和解契約」とか「免責証書」と言われることもありますが、いったんサインをして示談をしてしまうと、後に「裁判によればもっと高額の損害賠償請求ができた」という場合においても、その請求は認められなくなってしうというものです。

裁判で無効主張できる場合もありますが、単に「知らなかった」、法的な知識がなかったというだけでは、無効にすることは困難です。

何の知識もないままに示談してしまうのは、おおきなリスクです。

示談書にサインをする前に、適切な損害賠償の中身を知ることが重要です。

損害賠償計算書をチェック!!

保険会社が提示する損害額計算書の項目

各項目ごとに、基準となる考え方、基準金額を解説しています。

治療費

 必要かつ相当な実費全額が認められる(赤い本基準)。

最先端の医療は、過剰診療、高額診療として、否定されることもあります。

保険会社が直接医療機関に支払っている場合は、「治療費は全額お支払い済みです。」などと記載されています。その場合は、無視されても結構ですが、診療報酬明細書、領収書で金額確認をしましょう。

看護料
 ア)入院付添費

医師の指示または受傷の程度、被害者の年齢により必要があれば認められます。

職業付添人の場合:実費全額
近親者付添人の場合:1日につき、6,500円

イ)通院付添費

症状または幼児等必要と認める場合には支払われます。

1日につき、3,300円

③通院費

 症状によりタクシー利用が相当とされる場合以外は電車・バスの料金

自家用車を利用した場合は実費相当額;ガソリン代(1㎞あたり15円)、高速道路料金、駐車場料金
介護のための近親者の交通費もみとめられます。

 ④諸雑費

 入院雑費として、日用品の購入、通信費、新聞代などが認められます。

1日あたり、1,500円(赤い本基準)
装具等の必要な場合、実費額がそのまま認められます。

 ⑤休業損害

 ア)有職者

給与所得者は、前年度の源泉徴収票、事業所得者は確定申告書、所得税青色申告決算書などをもとに、現実の収入減があった場合に認められる。

 イ)家事従業者(主婦)

自賠責基準である、1日につき5,700円にて保険会社が計算する場合がほとんどですが、裁判基準ですと9,000円を超える場合があります。保険会社との見解が分かれる部分でもあります

被害者の方の年齢、状況によって変わりますので、納得できない場合は、専門家へのご相談をお勧めします。

⑥慰謝料(入院・通院に対応する慰謝料)

 原則として入通院期間を基礎として慰謝料基準表にあてはめて算定されます。

ここは、多くのケースで、自賠責基準である、1日あたり4,200円で算定されています。しっかりとチェックする必要がある部分であり、専門家へのご相談をお勧めします。

⑦後遺障害の損害

 後遺障害を残した場合、症状固定後の将来にわたる精神的苦痛を慰謝する性質の損害です。

通常、後遺障害の損害は、後遺障害慰謝料と逸失利益の二つに分けて金額が記載されています。

チェックすべきこと

ア)慰謝料の算定根拠は・・・

「当社基準」、「任意算定基準」など書かれている場合、算定根拠が曖昧で、本来の金額より慰謝料が低い可能性があります。

 イ)逸失利益の算定方法は・・・

具体的な数式で計算していない場合、本来の損害よりも低い可能性があります。

「後遺障害の損害」としか書かれておらず、慰謝料と逸失利益を合わせて記載している場合は、それぞれの算定根拠、算定方法を問い合わせるべきです。

専門的な知識が必要な部分ですので、納得できない場合は、専門家へのご相談をお勧めします。


以上、簡単に損害額計算書を確認するポイントについてご説明いたしました。

各項目の詳細に関しましては、当ホームページにて、解説していく予定ですが、疑問に思う部分がございましたら、当事務所にお気軽にお問い合わせください。


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東洋医学による治療費が損害として認められるか

東洋医学による治療、針灸、マッサージ、カイロ、気功、整体、さらに温泉療法などによる費用は、交通事故のよる損害である「治療費」として認められるのでしょうか・・・?

 支払基準

自賠責保険の保険金支払の基準を定めた「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準(平成13年金融庁国 土交通省 告示第1号)」には、治療関係費の項目の中で、

  • 柔道整復等の費用
  • 免許を有する柔道整復師、あんま・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師が行う施術費用は、必要かつ妥当な実費とする。

と定められています。

 まず「免許を有する柔道整復師、あんま・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師」とありますので、対象になるのは、整骨院(柔道整復師)とか針灸、マッサージといった国家資格のあるものと考えられます。

カイロ、気功、整体は民間療法で、国家資格はないですから、認められないものと考えられます。

つぎに、「必要かつ妥当な実費」を認めるとありますが、この文言については、「医師の指示に基づいている場合は、認められる」というのが、実務上の理解です。

しかし、現実に医師が「接骨屋さんに行きなさい」と指示することはありえないでしょうし、整形外科の医師が、「うちの病院じゃなく、近所の接骨屋さんに行ってください。」なんて指示された話なんて聞いたことありません。

結局、「医師の指示があれば」というのは、「医師以外は認めない」という意味とほとんどかわりないと考えられます。


では、医師の指示がない場合、自分の判断で接骨院などでの施術を受けた場合は、全く認められないのでしょうか・・・?

裁判例では、医師の指示がなくても、東洋医学による治療の治療費を損害として認めたものがあります。

その際には、以下のような各要素を総合的に考慮して,損害として認めることができるかどうかを判断していると考えられます。

  • 施術の必要性があること
  • 施術の有効性があること
  • 施術の期間が合理的であること
  • 施術費用が相当であること

裁判例の内容確認はコチラのページ


交通事故の治療はどうすれば・・・

事故後

まずは病院(西洋医学)での治療を受けるべきです。

いきなり東洋医学の施術のみで治療を行った場合、病院での治療を行わなかったことの合理的な理由を示さねばならない可能性があります。

基本的理解が「医師の指示に基づいている場合は、認められる」ですから、最初は、病院での治療を受けましょう!

整骨院で治療を受けたいとき

治療している病院の医師に相談をしましょう。

医師からの指示が得られ、診断書への記入が行われれば、損害として認められることが確実となります。

医師に相談ができない場合

被害者の方は、事前に保険会社に承諾を求めてください。

保険会社は、支払基準に書かれている「免許を有する柔道整復師、あんま・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師が行う施術費用」は支払うべきものと認識していますので、駄目だと答えられることは、そうないでしょう。

保険会社の承諾があれば、賠償の対象になります。

交通事故の被害者となってしまったら、一刻も早くケガを直して、再出発したいものです。 そのために、いろいろな治療、施術を行いたいと思うのは、当たり前ですよね。

ただ、ちょっとした注意を怠ってしまって、損害賠償としての治療費として認められないのでは、被害者ばかりが不利益を受けてしまいます。   無駄な出費をしてしまわないよう、注意して治療をなさってください。


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