損害賠償の時効

ひき逃げ

交通事故にかかわる時効

自賠責保険への被害者請求の時効

平成22年4月1日以降に発生した交通事故

  • 傷害による損害・・・事故日の翌日から起算して3年
  • 死亡による損害・・・死亡日の翌日から起算して3年
  • 後遺障害による損害・・・症状固定日の翌日から起算して3年

平成22年3月31日以前に発生した交通事故

  • 傷害による損害・・・事故日の翌日から起算して2年
  • 死亡による損害・・・死亡日の翌日から起算して2年
  • 後遺障害による損害・・・症状固定日の翌日から起算して2年

自賠責保険ですから、人身事故が対象です。
自賠責法の改正により(自賠責法19条)、平成22年4月1日以降は、時効期間がのびでいます。

自賠責保険への被害者請求の時効中断

以下の場合に時効が中断します。
時効が中断した場合、翌日から新たに時効期間が進行します。(改めて、時効期間の起算が始まります。)

  1. 仮渡金や保険金の支払いがあれば、支払日に時効は中断
  2. 被害者請求の結果の通知があった場合、通知日に時効は中断
  3. 「時効中断申請書」の提出

実際には、 被害者請求手続に時間がかかりそうな場合、被害者請求後の異議申立手続に時間がかかりそうな場合に、3、「時効中断申請書」の提出が必要となります。

自賠責保険会社に定型の「時効中断申請書」が準備されています。必要事項を記入して提出します。自賠責保険会社が申請書を受け取った日に時効は中断します。

民法の消滅時効

民法の規定

民法の規定への理解が、上記の自賠責の時効へも反映されています。民法の理解も押さえておきましょう。

民法724条

「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。」

損害を知った時

被害者が損害の発生を現実に認識した時、車を運転中に事故に遭って損害を知った時が、消滅時効の起算点となります。

加害者を知った時

損害賠償請求をするべき相手方を知った時、事故発生場所において相手方の住所、氏名を確認した時が、消滅時効の起算点です。

債務承認(時効の中断)

加害者が、治療費、休業損害、慰謝料などを支払った場合は、民法上の債務承認と理解され(民法147条3号)、時効が中断されます。

後遺障害が残存した場合事故の後、数年が経過して、後遺障害が残ってしまったことが判明した場合の消滅時効の起算点

最高裁判所の判例により、「症状固定日が消滅時効の起算点」と解されています。

「後遺障害が顕在化した時が民法724条にいう損害を知った時」に当たる(最判昭49・9・26)

「症状固定の診断を受けた時には、本件後遺障害の存在を現実に認識し、加害者に対する賠償請求をすることが事実上可能な状況の下に、それが可能な程度に損害の発生を知ったものとというべきである」(最判平16・12・24)

刑事の 公訴時効

死亡事故の場合、自動車運転過失致死事件の法定刑は「 7 年以下の懲役叉は禁固」です。(刑法 211 条) 公訴時効期間は 5 年で(刑事訴訟法250条2項5号) 、 5 年を経過すると、逮捕も、裁判もできません。


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保険金請求に必要となる書類は・・・

車いすとけが人

自賠責保険:保険金請求 必要書類一覧

自賠責保険の被害者請求を行う場合に必要となる書類です。

提出書類 被害者請求
仮渡金
・仮渡金請求の際に提出した書類は、損害賠償額請求の場合には再提出する必要はありません。 取付け先 死亡 後遺障害 傷害 死亡 傷害
・太字の用紙は損害保険会社(組合)に備え付けてあります。
1 保険金(共済金)・損害賠償額・仮渡金支払請求書
2 交通事故証明書(人身事故) 自動車安全運転センター
3 事故発生状況報告書 事故当事者等
4 医師の診断書または死体検案書(死亡診断書) 治療を受けた医師または病院
5 診療報酬明細書 治療を受けた医師または病院
6 通院交通費明細書
7 付添看護自認書または看護料領収書
8 休業損害の証明

  1. 給与所得者事業主の休業損害証明書 (源泉徴収票添付)
  2. 自由業者、自営業者、農林漁業者納税証明書、課税証明書(取得額の記載されたもの)または確定申告書 等
休業損害証明書は事業主
納税証明書、課税証明書等は税務署または市区町村
9 損害賠償額の受領者が請求者本人であることの証明(印鑑証明書)被害者が未成年で、その親権者が請求する場合は、上記のほか、当該未成年者の住民票または戸籍抄本が必要です。 住民登録をしている市区町村、本籍のある市区町村
10 委任状および(委任者の)印鑑証明死亡事故等で請求権者が複数いる場合は、原則として1名を代理者として、他の請求権者全員の委任状および印鑑証明が必要です。 印鑑登録をしている市区町村
11 戸籍謄本 本籍のある市区町村
12 後遺障害診断書 治療を受けた医師または病院
13 レントゲン写真等 治療を受けた医師または病院
(注1)◎印は必ず提出する書類。○印は事故の内容によって提出が必要となる書類です。

(注2)上記以外の書類が必要なときは、損害保険会社(組合)または自賠責損害調査事務所から連絡されます。


任意保険:保険金請求 必要書類一覧

任意保険の対人賠償に係る保険金請求を行う場合に必要となる書類です。(それ以外の保険金請求は、約款を確認しましょう。)

提出書類 対人賠償
・太字の用紙は損害保険会社(組合)に備え付けてあります。 取付け先 被保険者請求 被害者請求
自動車保険証券 保険会社
保険金の支払請求書
交通事故証明書 自動車安全運転センター
死亡診断書、逸失利益の算定の基礎となる収入の額を示す書類、及び戸籍謄本(死亡に関して支払われる保険金を請求する場合) 死亡診断書:医師
後遺障害診断書、逸失利益の算定の基礎となる収入の額を示す書類(後遺障害に関して支払われる保険金を請求する場合) 後遺障害診断書:医師
診断書、治療等に要した費用の領収書及び休業損害の額を示す書類(傷害に関して支払われる保険金を請求する場合) 診断書・領収書:医師
被保険者が損害賠償請求者に対して負担する法律上の賠償責任の額を示す示談書及び損害賠償金の支払又は損害賠償請求者の承諾があったことを示す書類
その他保険会社が所定の確認事項に必要な確認を行うために必要とされる書類又は証拠として保険契約締結の際に保険会社が交付する書類等(重要事項説明書等)に於て定めたもの
(注1)◎印は必ず提出する書類。△印は保険会社との契約内容によって提出が必要となる書類です。

(注2)上記以外の書類が必要なときは、損害保険会社(組合)または自賠責損害調査事務所から連絡されます。


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自賠責保険「被害者請求」とは・・・

保険金の請求

保険金の請求は、請求する方が被害者か加害者によって、異なります。

自賠責保険では、事故の過失割合の大小にかかわらず、ケガをされた方を「被害者」、相手の方を「加害者」と呼びます。

加害者請求

ケガをさせてしまった加害者が、ケガをした被害者へ支払った賠償金の額を限度に、自賠責保険会社へ、領収書その他の必要書類を提出して請求します。

これを、加害者請求(15条請求)といいます。 (自動車賠償責任保障法 第15条(保険金の請求))

被害者の方は、面倒な手続きを加害者に任せて治療に専念できるかもしれませんが、被害者の大切な医療情報が加害者に握られてしまう可能性があります。

被害者にとって不利な情報は、言い換えれば加害者にとっては有利な情報となります。

例えば、被害者の症状の実態に合わない診断結果が知られた場合、結果的に不本意な賠償になってしまいます。

一方、被害者にとって有利な情報は、加害者にとって不利になるため、自賠責の請求時には提出されない可能性もあります。

けがをされた被害者の方が、賠償請求にかかわる情報をすべて、加害者に開示しなければならない点で被害者の方の熟考が必要でしょう。

被害者請求

自賠責保険は被害者救済を目的とした保険ですので、加害者から十分な賠償を受けることができない場合に、最低限の賠償を、被害者自ら請求することができると定められています。

これを、被害者請求(16条請求)といいます。(自動車賠償責任保障法 第16条(保険会社に対する損害賠償額の請求))

被害者請求は、自賠責保険の要となる制度です。 被害者請求では、後遺障害等級認定を求めることができます。

被害者自らが行う請求でから、手続きの透明性は高いものとなります。後遺障害の等級に応じた自賠責の限度額の先取りも可能です。

被害者請求がなされた時、保険会社は、支払基準の概要、当該等級に該当すると判断した理由や支払を行わないこととした理由を記載した書面の交付が義務付けられています(16条の4((書面の交付))ので、手続きと賠償の内容が確認できます。

ただし、手続きが煩雑で、自賠責の調査事務所の求めに応じて、被害者自身がさまざまな手続きをしなければなりません。

一部を「加害者請求」、その他の一部を「被害者請求」として、加害者・被害者のどちらからも請求することが可能です。ただし、同じ損害で重複して請求はできません。 加害者からの請求と被害者からの請求が同時に行われた場合は、加害者からの請求が優先されます。

示談

任意保険に加入している場合、各保険会社のサービスによっては賠償金額の示談代行をしてもらえるが、自賠責保険には示談代行サービスが付かないのが通常です。

自賠責保険金の請求にあたっては、必要書類(6~10種類ほど)をそろえたり、請求書(3~6種類ほど)を書いたりするのは、全て請求者ご自身でやらなければなりません。


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自賠責保険の範囲は

適用の範囲は・・・

自動車損害賠償保障法では、

「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。」(第三条((自動車損害賠償責任))

と定められ、自賠責保険は自動車の「運行」によって「他人」を死傷させ、 加害者が法律上の損害賠償責任を負った場合に支払われる保険と定義されています。

この「運行」、「他人」といった定義が、若干複雑です。 「運行」には、通常の走行の他に、ドアの開閉やクレーン車のクレーン作業なども含まれます。

また、「他人」というくらいだから、運転者本人には適用になりません。

この他にも、「保有者」とは・・・「運転者」とは・・・といった定義の解釈には難しい部分もあります。 しかし、この部分の解釈によって、自賠責の適用にかかわるので、まずは重要な部分となります。

自賠責保険の補償範囲は・・・

自賠責保険は対人賠償の保険で、交通事故での人身事故、人を死傷させた場合にのみ適用される保険です。物損事故は対象になりません。

支払基準

補償範囲は、迅速かつ公平に保険金等を支払い被害者救済するために、国土交通大臣および内閣総理大臣により以下のとおり「支払基準」が定められています。 [table id=1]

※平成14年4月1日以降発生の事故より実施

この金額は被害者ひとりひとりについての額です。 交通事故で被害者が複数人いた場合い、ひとりひとりにこの額がそれぞれ支払われます。

過失割合の適用

任意保険では、被害者に過失があった場合、厳格に過失相殺が行われますが、自賠責保険の場合、被害者救済の立場から厳格な過失相殺は行われず、被害者に重大な過失があった場合にのみ、重過失減額として、支払い限度額から決められた額が減額されます。

被害者の過失が、7割未満であれば全額支払われますが、7割以上の場合は減額されます。 [table id=3]


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自賠責保険とは

強制加入の保険です

自賠責保険とは、正式には「自動車損害賠償責任保険」といい、「交通事故の被害者が泣き寝入りすることなく、最低限の補償を受けられるように」という被害者救済のために、公道を走る自動車やバイク、原付すべてに加入が義務付けられており、国が「自動車損害賠償保障法」という法律で定めた保険制度です。

一般に「強制保険」とも呼ばれています。

未加入で走行した場合など、罰則が定められています

自動車損害賠償保障法では、

「自動車は、これについてこの法律で定める自動車損害賠償責任保険(以下「責任保険」という。)又は自動車損害賠償責任共済(以下「責任共済」という。)の契約が締結されているものでなければ、運行の用に供してはならない。」(第五条(責任保険又は責任共済の契約の締結強制))

と定められています。

自賠責保険、自賠責共済に未加入で走行した場合、

「一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」(第八十六条の三、1合)

と罰則も定められています。

また、

「自動車は、自動車損害賠償責任保険証明書(前条第二項の規定により変更についての記入を受けなければならないものにあつては、その記入を受けた自動車損害賠償責任保険証明書。次条において同じ。)を備え付けなければ、運行の用に供してはならない。」(第八条(自動車損害賠償責任保険証明書の備付))

とも定められており、自賠責の証明書を車両等に積まないで運行させた場合、

「三十万円以下の罰金に処する。」(第八十八条、1号)

と罰則も定められています。

車検のない250cc以下のバイクや原付は、注意が必要です!

乗用車などは、車検の際に、車検期間と同じ保険期間の自賠責保険に加入するよう、手続きがされます。

車検のない250cc以下のバイクや原付は、自賠責保険の期限が切れていることに気づかない場合が考えられます。

そのまま乗り続けてしまい、事故をうっかり起こしてしまうと、自賠責保険が使えないばかりか、罰則も課せられることとなります。

くれぐれも注意が必要です。


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交通事故と自動車保険

交通事故の被害者は、加害者に対して、損害の賠償金を請求できます。

しかし,加害者に賠償金を支払えるだけの資力がない場合、被害者が実際には賠償金を受け取れないことになりかねません。

交通事故の損害賠償を確実なものとするのが、加入が強制される自動車保険自賠責保険と、自由意思で加入する任意保険です。

1.自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)

自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)は,自動車損害賠償保障法(自賠法)により加入を強制されている保険(強制保険)です。

交通事故の被害者を保護、救済する目的で,自動車を運転する人、自動車の所有者に自賠責保険または共済契約への加入を強制しています。

自賠責保険または責任共済に加入しないままで、自動車を運転すると行政罰と刑事罰の対象になります。

自賠責保険の特徴

  • 対象は人身損害に限られ、物損は対象になっていません。(自賠責保険の範囲
  • 事故の加害者のほか、被害者も直接保険会社に保険金の範囲内で損害賠償の請求ができます。(被害者請求
  • 損害額の算定は、国の支払い基準にしたがって算出されます。
  • 被害者に重大な過失があった場合でなければ、保険金額の減額はされません。 (過失相殺)
  • 仮渡金・内払い制度があり、被害者の経済的な負担を、保険金確定前でも支援します。

保険金の最高額

  • 事故により1名が死亡したとき : 死亡による損害=3,000万円、死亡にいたるまでの傷害による損害=120万円
  • 事故により1名が傷害を受けたとき : 傷害による損害=120万円
  • 事故により後遺障害が残ったとき : 後障害の程度により、75万円~4,000万円 (後遺障害等級表参照)

2.任意保険

自賠責保険と別に任意に保険会社と契約する保険で、対人賠償責任保険と対物賠償責任保険とがあります。

対人賠償責任保険は自賠責保険の上乗せ保険で、人身損害について自賠責保険の範囲を超える損害、自賠責保険の保険金額を超えた部分を対象とします。

被害者の死亡による損害が5,000万円のとき,自賠責保険により3,000万円が支払われ、残り2,000万円は加害者自身の負担となります。この不足を補うのが任意保険です。

3.政府保障事業

加害者が自賠責保険に未加入の場合、ひき逃げで加害者が不明の場合、盗難した自動車を運転していた者が事故を起こし保有者が責任を負わない場合、自賠責保険が適用になりません。

このような被害者を救済するため、自賠法71条以下に基づく政府保障事業が行われています。

被害者からの請求に応じて、自賠責保険の保険金と同額の限度内で政府が損害をカバーします。

被害者の損害賠償請求権は、政府が被害者に支払った金額の限度で政府に移転します。


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