交通事故発生から解決まで

追突

 

交通事故の発生から、損害賠償額を決定して、損害賠償を受けるまでの流れを説明しています。
示談が不成立な場合には、ADR機関の利用から、調停、訴訟へ移行することとなります。

交通事故解決までの流れ

 

交通事故発生から解決まで

 

交通事故の発生時

交通事故の発生時には、とにかく慌ててしまうものです。

「なぜ交通事故に・・・」と考えてしまうでしょうが、まずは自身の安全、そしてケガの確認をしましょう。
受傷した場合、無理に動かずにいましょう。

自動車の運転者であった場合は、道路交通法 第72条に定められている、負傷者の救護、道路の安全確保を行ってください。
また、自動車火災などに注意して、自己の身の安全を確保しましょう。

そして行うことは、以下のとおりです。

  • 警察への連絡
  • 保険会社への連絡
  • 相手方の確認(連絡先、保険会社、勤務先など)

まずは治療です

交通事故直後に救急車で運ばれるような状況でなかったとしても、できるだけ早く、病院へ行き診察を受けるようにしましょう。
交通事故直後は、興奮していて痛みを感じない場合もあります。必ず一度は、医師の診察を受けましょう。

病院へ行き始めた段階で、行政書士へご相談いただければ、治療費の問題休業損害の問題などについて、心配なく治療に専念できます。

完治した場合

治療が終わって、完治した場合は、損害賠償の金額を計算します。

保険会社から、損害賠償金の金額提示もありますが、その内容は、必ずしも適当とは言えません。
交通事故の損害賠償金額は、基準が存在しますので、ご自身でも計算して把握することを、お勧めします。

損害賠償の金額計算は、行政書士の得意な分野です。
保険会社からの提示額が妥当であるか検討するためにも、ぜひ、行政書士へご相談ください。

症状固定となった場合

症状固定というのは、簡単に言うと、「これ以上、治療をつづけても、症状が良くならない」状態です。
残念ながら、後遺障害が残ってしまったのです。

この場合は、まず後遺障害の程度を、認定してもらいます。
後遺障害の等級により、賠償金額が違ってきます。この認定後に、損害賠償金額損害賠償金額を計算します。

後遺障害等級認定は、後遺障害の内容、程度を、さまざまな書類で証明する必要があります。
行政書士は、書類の作成だけでなく、事故状況の調査、医師面談、医療調査などから、後遺障害等級認定がスムーズに行われるようにサポートします。

後遺障害等級認定では、認定に不服の場合、何度でも再審査を請求できます。
初めの後遺障害等級認定から、行政書士に依頼すれば、仮に再審査となっても、スムーズに対応が可能です。

示談できない場合

損害賠償金額に納得ができれば、支払いをうけ、「示談」となります。

損害賠償金額に納得ができない場合には、そのまま保険会社との交渉を続けなければなりませんが、ある程度の交渉の後には、ADR機関の利用を考えるべきです。

ADR機関の利用

ADR機関には、いくつかあります。
交通事故の内容によって、取扱いに違いがありますので、注意して相談をしましょう。

ADR機関での解決へのサポートは、ほとんどが書面によって行われます。
この際にも、提出する書類が重要になります。

これも、行政書士の得意分野です。

調停・訴訟

ADR機関を利用しても、解決がされない場合は、裁判所による調停、又は訴訟ということになります。

こちらの手続きは、直接には弁護士、司法書士の仕事となります。
しかし、これまで行政書士による書類作成のサポートを受けていれば、もう、裁判所へ提出する書類は、十分に準備が出来ているはずです。


交通事故の被害者となってしまった場合、初めての事で戸惑ってしまうことばかりです。
特に、損害賠償金額の妥当性は、最大の関心事でしょうが、専門的な知識なしでは、判断が出来ません。

交通事故後の、早い時期での専門家へのご相談で、解決への道のりを、確実にお進みください。


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むち打ち症と後遺障害

MRI画像

「むち打ち症」は、ラグビーや柔道など、対人接触のある激しいスポーツ、日常生活でのしりもちなどでも生じます。
しかし、「むち打ち症」の80%以上が、追突、衝突、急停車等という自動車事故で生じています。

こちらでは、「むち打ち症」の基礎知識と後遺障害等級認定について説明しています。

むち打ち症とは

「むち打ち症」とは、頸部に様々な症状が出現する疾患です。

人の頭部は、身体の上に不安定な状態で乗っています。
強い外からの衝撃で、むちを振り回すようなS字形の動きを強いられることで、「むち打ち症」の症状が出現します。

「むち打ち症」は,総称したもので、それぞれは、「頸部捻挫」「頸椎捻挫」「頸部挫傷」「外傷性頸部症候群」と呼ぶ傷病名で診断されます。

むち打ち症の症状

交通事故直後の症状(急性期)

首筋・背中・肩のこりや痛み、耳鳴り、頭痛、めまい、吐き気、食欲不振などの症状が出現する可能性があります。

これらの症状は、事故後ただちにより、2、3日後、またはそれ以上の期間が経過した後に、症状が現れる場合が多いようです。

事故後、早い時期の症状は、自然に治癒してゆき、一般的には長期化はせずに、1ヶ月ほどで治療が終了することが、ほとんどと言われています。

慢性化した場合の症状

事故後、「むち打ち症」の症状が続き、慢性化する場合もあります。

主な症状:首筋・背中・肩の痛み、頭痛、めまい
受傷のタイプによる症状
  • 頚椎捻挫型=肩が重い、首の筋肉の痛み
  • 自律神経障害型=肩こり、頭痛、吐き気、耳鳴り
  • 神経根損傷型=腕の強い痛み
  • 脊髄損傷型=手足のまひ

首の周囲に密集した自律神経機能傷害がでている場合は、バレ・リュー症候群と呼ばれます。

むち打ち症の診断

主な診断

「むち打ち症」は、X線、MRI などの画像による他覚的所見による診断が困難です。

自覚症状の問診と視診、触診によって診断されます。

検査方法

関節可動域測定
筋力測定
腱反射・病的反射テスト
知覚検査
神経学的検査(スパークリングテスト、ジャクソンテスト)

これらの検査によって、自覚症状をできる限り客観化することが出来ます。

交通事故の後遺障害等級認定において、ポイントとなる部分です。

むち打ち症での後遺障害等級認定

「むち打ち症」の場合、他覚的所見に乏しく、症状の多くが、自覚症状として被害者が訴えるのみという場合がおおくあります。
そのため、「詐病」ではないかと疑われやすく、損害賠償、後遺障害等級認定において、問題となります。

しかし、一定の症状があり、それによって日常生活に影響がでているのであれば、後遺障害等級が認められます。

自賠責法における後遺症等級

自賠責保険の後遺障害の基準等級

「医学的な証明」とは

「医学的な証明」とは、他覚的所見が存在することを意味しています。

12級が認定される場合

他覚的所見として、画像診断や神経学的所見などが認められる場合。

14級が認定される場合

受傷状況・症状・治療経過・臨床所見などから、現在の症状が交通事故を原因とする外傷として発生していると説明可能な場合。

後遺障害等級認定のポイント

「むち打ち症」の後遺障害等級認定において、問題となるのは、「詐病」ではないかと疑われやすいということです。

ポイントとなる点

12級:医学的な他覚的所見を、いかにして集め、認定申請の証明とするか・・・

14級:交通事故と症状との因果関係をいかにして示すか・・・
14級:交通事故によって日常生活に影響がでていることをいかに示すか・・・

行政書士 わたなべ法務事務所からのご提案

「むち打ち」は、後遺障害の中でも「目に見えにくい障害」です。
症状の裏付けは、他覚的所見に乏しく、数値的にも表されにくく、難しい部分があります。

また、保険会社は必ずしも協力的ではなく、医師も、後遺障害の認定実務に詳しくない場合もあります。

一般の方が、専門的知識もなく取組みますと、提出する書類の精査もせずに、ただ症状を訴えるだけとなって、後遺障害等級が認定されない結果となってしまいます。

「非該当」となっても、異議申し立て手続きが認められています。
その際には、「非該当」の理由、訴えていく症状の精査、提出した立証資料の精査、新たな立証資料の検討などを行い、異議申し立てをする必要があります。

初回の後遺障害等級認定においても、異議申し立てにおいても、重要なことは、客観的な立証の積み重ねです。

後遺障害等級認定では、専門知識、認定実務経験、第三者としての客観的な目が、必要となってきます。

早い時期での、行政書士 わたなべ法務事務所へのご相談、ご依頼が、後遺障害等級認定のポイントと考えます。


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交通事故における3つの紛争処理機関

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交通事故の被害者となってしまって、いつまでも加害者や相手方保険会社と揉めたくはないですよね。
ケガを負ってしまった場合は、完治や症状固定までの治療のストレスも、相当なもののはずですから、その後の損害賠償金や示談の交渉は、しんどく感じるでしょう。

損害賠償金や示談の交渉が上手くいかない場合、金額や内容に納得がいかない場合でも、

「お金も時間もかかりすぎる裁判はしたくない」
「相手との交渉では解決しそうにない」
「中立的な専門家に話を聞いてもらって解決したい」
「信頼できる人に解決をお願いしたい」

そんな場合には、裁判所以外の紛争処理機関を利用することができます。

紛争処理機関

紛争処理機関は、ADR(Alternative* Dispute Resolution)と呼ばれる、「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」に規定されている「裁判外紛争解決手続」を行う機関です。

ADRは、様々な分野で行われています。
交通事故では、ここに紹介する3つの機関が、その役割を担っています。

どの機関も、弁護士を中心とする、中立、公正な立場の専門家が調停を行います。

費用は、原則的に無料です。

それぞれの機関で、取扱い業務等に違いがありますので、適切な機関を選択する必要があります。

一般財団法人 自賠責保険・共済紛争処理機構

平成14年4月1日に、自動車損害賠償保障法に基づく「指定紛争処理機関」として国土交通大臣及び金融庁長官の指定(自賠責法23条の5)を受けて設立された機関です。

一般財団法人 自賠責保険・共済紛争処理機構

自賠責保険、共済が判断した、過失割合に納得が出来ない場合

自賠責保険、共済が判断した、後遺障害等級認定に納得が出来ない場合

などに利用することなります。

対象とならない事案

  • 人身傷害補償型自動車保険・共済は対象外となります。

実施場所

東京、大阪

公益財団法人 交通事故紛争処理センター

昭和49年に発足し、昭和53年に、総理府(現在の内閣府)所管の「財団法人交通事故紛争処理センター」へと発展し、平成24年4月1日に、公益財団法人へと移行した、弁護士いよる紛争処理機関です。

公益財団法人 交通事故紛争処理センター

加害者が、任意自動車保険(共済)に加入していない場合は、保険会社の同意がなければ、紛争処理ができません。

現在では、自賠責保険(強制保険)と任意保険を契約することが、一般的でありますから、一番利用しやすい紛争処理機関と言えるかもしれません。

対象とならない事案

  • 自転車と歩行者、自転車と自転車の事故による損害賠償に関する紛争
  • 搭乗者傷害保険や人身傷害補償保険など、自分が契約している保険会社又は共済組合との保険金、共済金の支払いに関する紛争
  • 自賠責保険(共済)後遺障害の等級認定に関する紛争

実施場所

全国8支部:東京、札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、高松、福岡
2相談室:さいたま、金沢

そんぽADRセンター(損害保険相談・紛争解決サポートセンター)

保険業法に基づく指定紛争解決機関として、国の指定を受けた日本損害保険協会が、2010年10月から開始した損害保険に関する苦情・紛争解決機関のことです。

日本損害保険協会 – SONPO | お役立ち情報 - そんぽADRセンター

交通事故専門ではなく、損害保険全般に対する、相談、苦情対応、紛争処理を行う機関です。

  • 交通事故の補償に関する相談
  • 保険会社の対応に対する不満、苦情
  • 保険金の支払額に納得出来ない場合の紛争処理

実施場所

全国10センター:札幌、仙台、東京、金沢、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、那覇

紛争処理機関の利用

これらの紛争処理機関を利用するには、それぞれの機関の申立書(利用申込書)と、自己の主張を証明する資料の提出が必要となります。

効率的に、紛争処理機関を利用しての解決を図るには、事前準備として専門家へのご相談をお勧めします。

自転車ADR

神奈川県行政書士会では、行政書士ADRセンター神奈川にて、自転車事故の紛争処理ADR業務を取り扱っています。
自転車事故で、お困りの方はご利用ください。


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3つの後遺障害等級認定の方法

交通事故に遭ってケガを負ってしまってから、ある程度の時間が経った方は、後遺障害等級の認定を考える必要があります。

後遺障害等級の認定を受けるべき方

  • 交通事故から3か月が経過しても症状が残存している方
  • 交通事故から6ヶ月が過ぎて、後遺症が残りそうな方
  • 加害者の損害保険会社から、「治療費打ち切り」との通告をうけた方
  • 通院を継続しているが症状が改善されない方
  • 医師から症状固定を打診された方

この様な方は、加害者の損害保険会社からの「治療費打ち切り」のプレッシャーも強くなります。

症状固定日のイメージ図
ズルズルと治療を続けるよりは、症状固定」、「後遺障害等級認定」を経て、逸失利益、後遺障害慰謝料、介護料などによっての適切な補償を受けるように考えるべきです。

後遺障害等級認定申請の方法

後遺障害等級認定申請には、3つの方法があります。

後遺障害等級認定の方法

被害者請求(自賠責法16条)

被害者請求(直接請求)は、交通事故の被害者自らが、自賠責法16条に基づき、加害者の自賠責保険会社に対し、後遺障害認定申請を行い、損害賠償額の支払いを求める方法をいいます。

被害者請求による後遺障害等級認定の流れ

後遺障害等級認定:被害者請求

1.被害者から後遺障害等級認定申請の必要書類を自賠責保険会社へ提出します。
2.自賠責保険会社は、資料一式を損害保険料率算出機構に送ります。(実際の調査は、下部組織である自賠責損害調査事務所が行います。)
3.自賠責損害調査事務所が調査結果を自賠責保険会社へ報告します。
4.自賠責保険会社は、報告に基づいて被害者へ後遺障害等級を通知し、損害賠償金を支払います。

被害者請求のメリット

  • 後遺障害等級の認定により、定められた自賠責の損害賠償金を、短い時間で受け取ることが出来ます。
  • 被害者の方が自ら、提出書類のチェックが可能です。

被害者請求のデメリット

  • 請求者となる被害者に立証責任があります。
  • 後遺障害等級認定に関わる請求書類や後遺障害を証明する資料(CT、MRI画像など)を、被害者である方自身で立準備する必要があります。

加害者請求

加害者請求は、被害者に代わって、加害者が後遺障害等級認定の手続きを行い、損害賠償金を被害者に支払うものです。
現在は、ほとんど場合、運転者は任意保険に加入しており、事前認定の方法によって、後遺障害に関する事案が処理されています。

事前認定

加害者が任意保険に加入している場合、加害者の任意保険会社の担当者が「一括払い」として、被害者の方と示談交渉を行います。

任意保険会社が、示談交渉において、後遺障害等級による損害賠償の金額と、実際の示談交渉において提示する損害賠償額との間に、大きな隔たりが生じないように、示談交渉に先立って、損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)に後遺障害等級の認定を求めるのが、事前認定です。

損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)は、任意保険会社に、被害者の方の後遺障害の有無、等級について通知します。
この結果に基づいて、任意保険会社は被害者の方と示談交渉を行います。

事前認定のメリット

  • 任意保険会社が、後遺障害認定の手続を行ってくれますので、被害者の方の負担が軽くなります。

事前認定のデメリット

  • 任意保険会社から損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)へ資料提出する際に、保険会社の顧問医の意見書が付けられ、被害者に不利な認定がなされる可能性も考えられます。
  • 加害者側の任意保険会社から、どのような資料が損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)に提出されたのか分かりません。期待できる後遺障害等級認定の獲得が期待できない可能性があります。

事前認定後の任意保険会社の対応

任意保険会社は、後遺障害等級認定の結果によって、損害賠償の金額の見積りが行えるようになります。
その見積もられた損害賠償の金額の範囲内での示談を迫ってくるのです。

ほとんどの交通事故の被害者の方が、この事前認定手続で後遺障害等級認定が、行われ任意保険会社との示談をされています。
被害者の方は、保険のプロ、交通事故処理のプロと示談交渉をしなければならないのです。
正当な高障害等級認定を受け、正当な損害賠償金額を知った上で、示談交渉へ望むべきです!!

後遺障害等級認定への異議申立

後遺障害等級認定に不服がある場合は、異議申立を行うことが認められています。
この異議申立は、何度でもすることが出来ます。
加害者請求や事前認定の場合でも、被害者請求へ切り替えて、異議申立をすることが出来ます。

後遺障害等級認定申請の必要書類

  • 自賠責保険支払い請求書兼支払指図書
  • 印鑑登録証明書(3ヶ月以内)
  • 交通事故証明書
  • 診断書
  • 後遺障害診断書
  • 診療報酬明細書
  • 事故状況を証明する書類(事故車の写真、事故現場の写真、事故状況図、修理費見積書、実況見分調書等必要に応じた資料)
  • 画像(レントゲン(X-P)、CT、MRI等必要に応じた画像

※交通事故証明書、診断書、後遺障害診断書、診療報酬明細書は、保険会社へコピーを請求することで入手出来ます。


後遺障害等級認定の手続き、異議申立は、「被害者請求」により行うことがベストです。医療調査、後遺障害診断書の精査など、専門的な知識の必要な部分が多くありますので、専門家へのご相談を、お勧めいたします。

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後遺障害等級認定の3要件

骨格

後遺障害等級認定の要件

むち打ち症を例に、後遺障害等級認定の要件、ポイントについて解説します。

むち打ち症における、後遺障害認定

むち打ち症は、追突の際の衝撃で、頚部が強く振られたことで、頚部・肩甲部・上肢等に痛みや痺れをもたらすものです。診断では、頚部捻挫、頚部挫傷、外傷性頚部症候群などの診断名が付けられます。症状として、頭痛・吐気・めまい・耳鳴り等が生じることもあります。 

むち打ち症の場合、後遺障害等級は、以下の等級が認定されるのが一般的です。

  • 12級13号:「局部に頑固な神経症状を残すもの」
  • 14級9号:「局部に神経症状を残すもの」
  • 非該当:後遺障害とは認められないもの

自賠責保険では、非該当では、後遺障害による損害賠償は、認められず、14級では、75万円、12級では、224万円が認められます。

交通事故後の治療が、長い期間に及び、痛みなどの症状が残ってしまっている被害者にとっては、「非該当」であるか、「14級」であるかは、大きな違いです。

以下、非該当となる場合を示し、後遺障害認定の要件を説明します。

後障害等級認定が非該当とされる場合

以下の様な態様が認められる場合には、「非該当」とされる可能性が高くなります。

事故の態様が軽微である

極めて低速で追突をされたなど、事故の態様が軽微な場合、後遺症が発症していても、非該当とされる場合があります。

被害者自身で、車両を修理する前に、傷や凹みなど、車両に残る自己の痕跡をしっかり撮影しておき、証拠を残しておくことが重要です。

通院の実績が乏しい

交通事故の直後から症状固定時まで、整形外科などの医療機関の治療を継続して受けることが必要となります。

仕事や学業の都合で、整形外科医の診療時間に受診できない場合には、接骨院へ並行して通院することで、通院の実績とすることも出来ます。ただし、整骨院の併用通院は、整形外科医と損害保険会社の同意を得ておく必要があります。

整骨院の通院のみで医師の治療を受けていなかったりすると、非該当となることがあります。

交通事故で受傷した後、しばらくして症状が重くなることもありますが、すぐに医師の治療を受けましょう。

症状にもよりますが、少なくとも3ヶ月~6ヶ月程度は、整形外科へ通院しましょう。1年以上の通院が必要となることもあるかもしれません。

後遺障害等級認定の申請は、事故から6ヶ月経過した後に申請することが一般的です。

交通事故で受傷した後、1ヶ月程、全く通院しなかったり、通院の中断があると、非該当となることがあります。

また、2週間に1回程度の通院であったりする場合と、非該当となることがあります。

最低でも週に1回、出来れば週2回位上の整形外科医への通院をお勧めします。

症状に一貫性・連続性がない

交通事故での傷の直後から、症状固定まで、症状が一貫して、連続していることが必須です。

カルテの記載上、事故後の当初は、訴えていなかった症状を、事故後3ヶ月後から訴えたと記載されている場合、一貫性、連続性がないと、非該当となることがあります。

カルテに記載がない症状は、ないものとみなされます。交通事故の直後に痛み、痺れ、関節の動かしにくさなど、すべてを医師に話して、カルテへの記載を求めることが必要です。

頚や腰の可動域に問題があると感じた場合、早めに一度、可動域の測定を求め、カルテへの記載を求めましょう。後に、後遺障害診断書を書いてもらう際の貴重な資料となります。

いったん痛みが消え、回復したと言った症状が、1ヶ月後に再度痛みがぶり返したと訴えたような場合、一貫性、連続性がないと、非該当となることがあります。

症状に重篤性・常時性がない

後遺障害は、症状固定後に残ってしまった症状が、重い場合に認められます。

「コリ」、「違和感」、「だるさ」、「張り」といった症状では、非該当とされる可能性が高いです。

整形外科医の先生に、症状を伝える時には、はっきりと「痛い」、「しびれる」と症状を伝えましょう。曖昧な表現では、後遺症と認識してもらえない可能性もあります。

痛み、痺れなどの症状は、日によって症状の状況が変化することもあります。しかし、後遺障害は常に持続している症状を指しますので、「雨の日は痛む」、「寒い時は痛む」、「仕事後は痛い」、「長い時間歩くと痛い」といった、ある条件で発症する症状の場合は、一貫性、連続性がないと、非該当とされる可能性が高いです。

診察の日に、たまたま痛みがなくっても、軽率に「治った」、「調子がいい」などとは、あまり言わない方が良い場合もあります。

後障害等級認定の要件

後遺障害等級認定を受けるためには、以下の3つの要件が必要です。

  1. 自覚症状がある
  2. 自覚症状を裏付ける画像所見がある
  3. 自覚症状を裏付ける神経学的所見がある

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後遺障害等級認定 ~2つの手続き~

被害者請求と事前認定

病院

後遺障害として、損害賠償を受けるためには、「後遺障害等級認定」が必要です。

この「後遺障害等級認定」を受けるための手続きには、被害者請求事前認定の2つの手続き方法があります。

被害者請求

自動車損害賠償保障法 第16条に基づく、被害者による直接請求手続きです。

  1. 被害者から、自賠責保険会社へ必要書類を提出します。
  2. 自賠責保険会社から、損害保険料率算出機構へ書類が提出されます。
  3. 自賠責調査事務所の調査に基づき、損害保険料率算出機構が、後遺障害等級認定を行い自賠責保険会社へ通知する。
  4. 自賠責保険会社から、被害者へ通知され、支払いが行われる。

事前認定

一括払いの場合に行われる、後遺障害等級認定の手続きは「事前認定」といいます。

交通事故の賠償は、一般的に加害者の加入する任意保険会社が、自賠責保険からの支払い分もまとめて一括で被害者に支払う一括払いで行われます。
一括払いを行う任意保険会社も、後遺障害が何級であるのか決まらなければ 、被害者に損害賠償の金額を提示することができません。
任意保険会社は、損害保険料率算出機構へ、事前に後遺障害等級認定を依頼します。

  1. 被害者から、任意保険会社へ必要書類を提出します。
  2. 自賠責保険会社から、損害保険料率算出機構へ書類が提出されます。
  3. 自賠責調査事務所の調査に基づき、損害保険料率算出機構が、後遺障害等級認定を行い任意保険会社へ通知する。
  4. 任意保険会社から、被害者へ通知され、支払いが行われる。

被害者請求か・・・事前認定か・・・

書類の準備

「被害者請求」において、適正な後遺障害等級認定を受けるためには、知識のある専門家による書類の準備が必要でしょう。

「事前認定」では、一括払いの任意保険会社が、医療照会の同意書を被害者から受けている場合がほとんどで、後遺障害診断者など、医師または病院からの書類は、任意保険会社により準備され、被害者の書類準備の負担は軽いかもしれません。

損害賠償金の支払い

「被害者請求」においては、後遺障害等級認定された等級の損害賠償が、示談にかかわらずに受け取ることができます。

「事前認定」では、後遺障害の等級が認定されても、任意保険会社が認定された後遺障害の損害賠償の金額を含め、示談の金額が提示され、示談書にサインすることで、賠償金額が支払われます。

一括払いにおける後遺障害認定

「事前認定」では、後遺障害等級認定の結果は、任意保険会社にとっては示談交渉の道具のとも言えます。

後遺障害等級に対するシステムは、自動車損害賠償保障法 によるものです。その認定された等級は、むしろ被害者が交渉のために使うべきものではないでしょうか・・・

「事前認定」では、後遺障害等級認定、賠償金額の設定などが、任意保険会社の中でおこなわれます。それで、被害者として「納得のできる」賠償が受けられるでしょうか・・・

後遺障害等級認定は被害者請求で

「事前認定」でも、通知を受けた後に、認定された等級の自動車損害賠償保障法 の賠償金を被害者請求に切り替えて、示談せずに受け取ることもできます。

後遺障害等級認定にかかわる損害賠償は、被害者の方のその後の人生に大きく関わってきます。

後遺障害等級認定の異議申立ても視野に入れれば、後遺障害等級認定は被害者請求で行い、損害賠償の金額決定は、被害者自身が交渉していくべきことです。


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後遺障害等級認定 四つのポイント

交通事故での後遺症、「症状固定」となった後に、後遺障害の認定を受け後遺障害として損害賠償が受けられます。

「後遺症等級認定」とは・・・

リハビリ

後遺障害等級認定

後遺症は、被害者の方それぞれで違っています。
本来ならば、被害者の方の損害額は、個別にその後遺障害に合わせて算出するべきです。しかし、何の基準もなく個別に後遺障害を賠償するには、すべての事故で裁判を行わなくてはならなくなってしまいます。
それでは、被害者に対する救済におおくの時間がかかってしまい、被害者の救済が困難なことになりかねません。

そのため、「自動車損害賠償保障法」では、後遺障害を16の等級に分類し、迅速、公平に処理ができ、後遺障害の補償がなされるようになっています。

後遺障害の慰謝料や労働能力喪失率は、この16の等級に応じて定められています。

後遺障害別等級表・労働能力喪失率

後遺症等級の認定は損害賠償請求の基礎です。正しく等級認定を受けなければ、正当な賠償が受けられません。

後遺障害等級認定をするのは・・・

等級認定の流れ

  1. 症状固定の後、主治医に後遺障害診断書を作成を依頼する
  2. 請求者が保険会社へ請求書類を提出する
  3. 保険会社は、請求書類を、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所へ請求書類を送付する
    • 被害者請求の場合:自賠責保険会社を経由にて
    • 任意保険一括請求の場合:任意保険会社を経由にて
  4. 自賠責損害調査事務所は、請求書類に基き、事故の内容、後遺障害と事故との因果関係があるかどうかなどを調査する
  5. 自賠責損害調査事務所は、調査結果を損害保険会社等に報告する
  6. 保険会社が、支払額を決定し請求者に支払いをする

後遺障害の等級認定は、保険会社各社がバラバラに認定するのではなく、全国的な一定の基準のもと、損害保険料率算出機構が共同査定を行っています。

書面主義

損害保険料率算出機構の等級認定は、書面主義 です。保険会社を経由した、被害者の提出した請求書類により審査されます。

書面主義 における審査基準

  • その人の後遺症が、後遺障害別等級表のどの級のどの号の要件に合致しているか
  • その人の後遺症は、事故との確かな因果関係があるか

後遺障害等級の基準・要件を把握し、 ポイントをおさえた立証資料による書類を準備して、等級認定を受けなければ、納得のできる後遺障害等級認定は受けられません。

 等級認定での課題

後遺障害等級認定は、自賠法施行令別表(後遺障害別等級表・労働能力喪失率)に定められています。

各等級の該当範囲を、どう解釈し等級を決定するかは、自賠責保険での実務、裁判所による認定評価において、症例によって、立証の程度によって判断の差が生じています。

医学的な評価が基本でありますが、医学的解明の「グレーゾーン」(分類のハザマ)の扱い、つまり等級が12級なのか11級なのか、明確に判断ができない場合など、その扱いによって争点となってしまうことがあります。

被害者側としては、

「自分は、ケガもし、後遺症も残っているのだから、加害者や保険会社は、後遺障害の認定に協力するのが当然だ」

と考えがちです。

被害者となってしまった方のこういった感情は十分に理解できます。
しかし、決められたシステムの中で、損害賠償が行われますので、いつまでもそういった感情にばかり囚われていては、納得いく賠償への道が閉ざされかねません。
「自分から積極的に損害を立証する」という姿勢で、書類、立証資料を準備することが必要となります。

後遺障害等級認定への異議申し立て

後遺障害の等級認定に不服がある場合は、時効となっていなければ、何回でも不服申立て(異議申し立て、再審査請求)が可能です。

不服申立て(異議申し立て、再審査請求)は、認定をした損害保険料率算出機構へ行い、その判断へも不服があれば、最終的には、一般財団法人 自賠責保険・共済紛争処理機構 への異議申立てをおこない、「調停」という裁決を受けることになります。

不服申立て(異議申し立て、再審査請求)は、書面によって異議申立ての趣旨を明確にし、「不服」を主張しなければなりません。
単に「不服である」旨だけでは足らず、再審査が必要であること納得させるだけの、書類、立証資料が必要となります。

有効な不服申立て(異議申し立て、再審査請求)を行うためには、主治医の全面的な協力と後遺障害の異議申立てに精通した専門家の関与が不可欠です。


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症状固定の意味

症状固定とは・・・

病院の看板

交通事故でケガを負ってしまった。

後遺症が残ってしまった場合、自動車損害賠償補償法にて、補償を受けるには、「症状固定」の後に、後遺障害等級認定を受け「後遺障害」と認定され、損害賠償の対象となります。

では、「症状固定」とは何でしょうか・・・?

医師の決定する症状固定

交通事故でのケガの治療を行い、効果が上がらず、後遺症がこれ以上よくならない状態となった時、または、 治療を行うと楽になるが、しばらくすると後遺症のある状態に戻ってしまう、症状が一進一退となり、快方に向かっているとは言えなくなった状態、後遺症が残らずに治ったという意味ではない状態が「症状固定」です。

治療においての症状固定は医師が診断することであり、患者ごとに、その傷病ごとに、医師の意見を尊重して決められます。

症状固定はケガの痛み、後遺症への判断ですから、その決定は被害者自身と治療を担当する医師とによって決められるべきものです。

損害賠償における症状固定の意味

事故発生によりケガを負った場合、すぐに治療が始まります。自賠責保険では、治療費、交通費、看護費、入院雑費、休業損害、入通院慰謝料等が、支払われます。

症状固定日が決定されると、その日を境に、それらの支払いは終了し、後遺症が残った場合、後遺障害等級認定を受け、症状固定日以降は、逸失利益、後遺障害慰謝料、介護料等の支払いが行われることになります。

症状固定日のイメージ図

このように、交通事故の損害賠償にとっては、症状固定日は、支払われる損害賠償の内容が変化するポイントであり、被害者にとっても大変な問題であります。

保険会社の立場

保険会社といえどボランティアではなく一営利企業です。被害者の方は、「自分は被害者だから、保険会社は納得の行く対応をしてくれるはず」と考えがちですが・・・

保険会社は、早期に治療を終了させ、速やかに低い賠償額で示談したいというのが本音です。ですから、症状固定時期を早めようとするのが一般的です。

症状固定日決定の問題点

  1. 保険会社は、早期に設定したいが、勝手に決められるようなものではない。
  2. 被害者は、後遺症がなくなった状態まで治療を続けたいが、被害者の感覚次第では決められない。
  3. 医師の判断による客観性を期待しても、傷病ごとに一律な期間が決まっているわけではなく、医師によって判断に違いが出てしまう。

症状固定日の決定にかかわる三者、とくに、被害者の方と保険会社との認識の違いが生じやすい事柄でありますし、客観的に判断される事柄でないことが問題です。

納得のできる対応をしましょう

症状固定日をいつにするかのは、被害者の方にとっては、後遺障害の等級認定の結果や、損害賠償請求できる金額を左右する大変に重要な問題です。

被害者の方は、医師とは治療において良いコミュニケーションを保つようにしましょう。医師に指示に従うのはあたりまえですが、その上で「痛み」が残っている場合は、その旨を医師に伝えましょう。
そして、症状固定日を決定する場面では、安易に症状固定に合意せずに、納得がいくまで話し合い、説明を受けましょう。

保険会社からの、「症状固定による治療打ち切り」の連絡を受けた場合には、その後の後遺障害認定の対応なども考慮して対処する必要がありますので、専門家への相談が必要です。


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後遺障害というのは・・・

後遺症と後遺障害

松葉杖

後遺症とは・・・

後遺症とは、病気やケガなどの急性期症状が治癒した後も、機能障害などの症状や傷痕が残ることをいいます。

交通事故では、事故で頸椎損傷を起こして外科的治療で治癒した、その後も低髄液圧症候群でめまいなどの症状が続くなどが、後遺症です。

後遺障害とは・・・

後遺障害は、自動車損害賠償保障法施行令第2条2項において、「後遺障害」は「傷害が治つたとき身体に存する障害をいう。」と規定されています。
「後遺障害」は自動車損害賠償責任保険に関わる用語です。

後遺障害となる要件

  1. 交通事故によって受傷した精神的・肉体的な傷害(ケガ)であること
  2. 将来においても後遺症の回復が見込めない状態であること(症状固定
  3. 交通事故と後遺症との間に相当因果関係(確かな関連性・整合性)が認められること
  4. 後遺症の存在が医学的に認められる(証明できる、説明できる)こと
  5. 後遺症を原因として、労働能力の喪失(低下)を伴うものであること
  6. 後遺症の程度が自賠法施行令の等級に該当すること

交通事故により受傷した傷害を原因とする後遺症が、上記の要件を満たした場合に、自動車損害賠償責任保険の制度では、後遺症を「後遺障害」と認定します。
具体的には自動車損害賠償保障法施行令別表第一又は第二に該当するものが対象となります。

後遺症と後遺障害

 

 後遺障害への損害賠償

「後遺障害」として等級認定されると、傷害部分とは別に損害賠償請求ができます。

「後遺症」が残ってしまっているとの自覚症状だけでは不十分です。「後遺障害」となって、自動車損害賠償責任保険制度の損害賠償を請求するには、「後遺障害等級認定」されることが必要となってきます。

※自動車損害賠償責任保険上の後遺障害等級に認定されなくても裁判にて、後遺障害として損害賠償請求が認められた例はあります。


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