交通事故の3つの慰謝料

交通事故の被害者となられた方へは、その受傷の程度、損害によって「死亡慰謝料」、「障害慰謝料」、「後遺障害慰謝料」の3つの慰謝料が認められます。

家族

慰謝料とは

交通事故の被害者となった方の損害には2つのものがあります。 現実に生じた財産的な損害と、精神的な損害です。 財産的損害に対しては「損害賠償」、精神的損害に対しては「慰謝料」という金銭的賠償が行われます。

「慰謝料」は、民法の以下の規定により想定され、認められる精神的損害への倍賞です。

他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を追う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。(民法710条)

他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されていなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。(民法711条)

死亡慰謝料

交通事故の被害者の方が、亡くなってしまった場合に支払われる「慰謝料」です。

請求権者

死亡した方の父母・配偶者・子が直接の慰謝料請求権を取得します。(民法711条)

その他慰謝料請求権が認められる方

内縁の配偶者、妹、兄、祖母、再婚相手の連れ子

以上は、判例により固有の慰謝料請求権が認められたものです。 実務上は、実際の状況により変わってくる可能性があります。

自賠責保険での基準額

死亡本人の慰謝料  :350万円
遺族の慰謝料 :請求権者1人の場合 :550万円
:請求権者2人の場合 :650万円
:請求権者3人の場合 :750万円

請求権者となる者は、被害者の父母(養父母を含む)、配偶者及び子(養子、認知された子、胎児を含む)。
被害者に被扶養者がいるときは、200万円が加算されます。

裁判所基準による基準額

赤い本基準 青い本基準
被害者が一家の支柱 2,800万円 2,700万円~3,100万円
被害者が母親・配偶者 2,400万円 2,400万円~2,700万円
被害者が独身者、子供、幼児等 2,000万円~2,200万円 2,000万円~2,400万円

これらの金額は、死亡本人の慰謝料と遺族の慰謝料との合計額となります。

障害慰謝料

交通事故によりケガをしてしまった方に対する「慰謝料」となります。

基本的には、入通院の日数により、計算され支払われます。

自賠責保険での基準額

入通院1日につき4,200円

【実際の治療日数×2】と【治療期間】のどちらか少ない方を、日数として計算します。

裁判所基準による基準額

赤い本基準、青い本基準として、それぞれ基準額が、設定、公表されています。

入通院慰藉料表 – 赤い本基準

入通院慰藉料表 – 青い本基準

後遺障害慰謝料

後遺障害とは

自賠責保険での基準額

後遺障害の等級により、以下のとおり決められています。

等級 支払限度額 慰謝料
介護1級 4,000万円 1,600万円
介護1級 3,000万円 1,163万円

等級 支払限度額 慰謝料
第1級 3,000万円 1,100万円
第2級 2,590万円 958万円
第3級 2,219万円 829万円
第4級 1,889万円 712万円
第5級 1,574万円 599万円
第6級 1,296万円 498万円
第7級 1,051万円 409万円
第8級 819万円 324万円
第9級 616万円 245万円
第10級 461万円 187万円
第11級 331万円 135万円
第12級 224万円 93万円
第13級 139万円 57万円
第14級 75万円 32万円

裁判所基準による基準額

被害者本人の慰謝料

自賠責の基準を用いて算定することが一般的です。

近親者の慰謝料

特に基準は定められていません。

裁判所による判決によって決められます。


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自転車による死亡事故にも高額な賠償

自転車事故への判決記事

東京地方裁判所が、自転車事故に 4700万円の賠償を命じたと、1月28日に各メディアが伝えました。

自転車事故 4700万円の賠償命じる(NHK News WEB)

自転車死亡事故、4700万円賠償命令 東京地裁(朝日新聞)

2010年、東京都大田区の横断歩道を歩行中、赤信号を無視したスポーツタイプの自転車にはねられ、5日後に脳挫傷で死亡した女性(当時75歳)の遺族が、自転車に乗っていた男性(46)(重過失致死罪の有罪確定)に約1億600万円の損害賠償を求めた訴訟での判決です。

裁判では、脳挫傷が事故で生じたかどうかが争われ、男性側は「女性が病院のベッドから落ちたのが原因だ」と主張したそうですが、東京地方裁判所の三木素子裁判長は「女性の頭には事故で受けた傷しかなく、ベッドからの転落は関係ない」と退け、「自転車が赤信号を無視して交差点に進入しようとしたことが事故の原因で、女性は道路に頭を打ち、死亡につながった」として、女性の慰謝料、逸失利益を計約4000万円と算定し、これに遺族2人への慰謝料計300万円などを加えて、合わせて4700万円余りの賠償を命じました。

遺族側の弁護士は「自転車側が加害者となる歩行者との事故が増えるなか、自動車事故と同程度の賠償が認められた」と判決を評価した、とのことです。

自転車事故での高額賠償

自転車による人身事故では2013年7月に、神戸地裁は加害者側に約9500万円の支払いを命じる判決を出しており、自転車事故の裁判判決では、高額な賠償を命じるケースが相次いでいるということです。

自転車、特にスピードを出したスポーツタイプの自転車は、命を奪う「兇器」であることを改めて認識させられます。

どんなタイプの自転車に、どのようなスチュエーションで乗るかは、個人の自由であるけれども、交通法規を守ることは基本でしょう。

自転車の場合、「車両」である意識が希薄になりがちですが、スピードが出ている状態では、「兇器」となりうる訳ですね。


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